ガンケルは13個のゴロアウトが示すように、低めに制球していた。カットボール、ツーシームを駆使しながら、相手打者を引っかけさせるパターン。球威で押すタイプではない、この投手の真骨頂だった。

1回2死、高橋周に右二塁打を浴びたが、4番ビシエドを投ゴロに打ち取った。この3連戦でビシエドは12打席立ったが、8打席がゴロで、ノーヒットに終わった。主軸の不調もあったが、ガンケルの丁寧な投球が上回った6勝目だった。

昨季は左肩が開くタイミングが早いのが目についた。だが、今年は左肩が開かずに打者に向かっていくから、バッターが見えづらくなった。高めにも浮いてこないから、ゴロのアウトが多発するのは必然だった。一方でガンケルに対した中日打線は、逆方向を狙うのか、1つの球種に絞るのか、チームとしての狙いが伝わってこなかった。

阪神は3タテを食らわせてもおかしくなかった。この日は効果的な得点でガンケルを援護し、2勝1敗を保てた。今後はスアレスをいかに大事に起用していくかだが、そこにつなぐまでのリリーフ起用もポイントになってくる。8回は岩崎として、及川、岩貞、斉藤らに、藤浪の起用法も含めて中継ぎの見極めが勝敗を左右するだろう。

阪神にとって、ヤクルトが追い上げてくるのは怖くない。やはりイヤなのは、リーグ戦再開から負け越した巨人だ。チームにとって「先行-逃げ切り」の戦いが理想だが、まだまだヤマが立ちはだかるとみている。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 3回裏中日2死一、二塁、高橋周を二ゴロに打ち取ったガンケルはサムアップポーズでベンチへ戻る(撮影・前田充)
中日対阪神 3回裏中日2死一、二塁、高橋周を二ゴロに打ち取ったガンケルはサムアップポーズでベンチへ戻る(撮影・前田充)