3回の侍ジャパンの勝ち越しシーンを見ていて、どうなんだろう? という疑問が生じた。1死一、三塁から、浅村のボテボテの投ゴロ。ゴロゴーのサインが出ていた三塁走者の坂本は投手が処理にもたつく間に本塁に突っ込みヘッドスライディングで生還した。

ゴロゴーにも種類がある。一、三塁や投手への当たりはストップで、セカンドやショートへの当たりならゴーとか、チームで細かく条件を決めてあるものだ。ギャンブルスタートなら別だが、1死一、三塁で、併殺の取れない投前の緩い当たりなら、三塁走者はストップがセオリー。反応して走ってしまっても悪いわけではなく、挟まれて二、三塁の状況をつくればリカバリーできる。坂本の1度止まろうとした動きを見る限り、走った際の約束事は見て取れた。ただ、気になったのはゴロゴーの条件などはどう決めているのだろう? ということだ。

坂本の走塁を見ているだけではそこまでは分からなかった。もし、チームの取り決めが細かくないのなら、確認しておいた方がいい。国際大会では約束事のミスが、取り返しのつかないことになることもある。13年のWBC準決勝で井端と内川のダブルスチールが連係ミスになり敗退したのを糧にしていないといけない。

東京五輪のルールは1次リーグでの敗退がなく、負けても優勝できるこの2試合は、大げさに言えば練習試合みたいなもの。初戦の硬さがあったドミニカ共和国戦はともかく、メキシコ戦は敗退のかかる決勝トーナメントに向けた準備を勝利と並行して行うべきだとも思っていた。だからこそ約束事がどうなっているのか気になった。

準備という面でいえば、投手起用についても言える。ゲームプランとして序盤でリードを奪えれば、千賀と岩崎を登板させるものだと予測していたのだが、使わないまま終わった。投げられる状況にないのか、調整登板の必要がないのか。いろいろ試せるチャンスだったメキシコ戦を勝利の方程式の確認だけで終わらせてしまったのは、もったいなかった。(日刊スポーツ評論家)

本対メキシコ 6回に日本2番手で登板した伊藤(撮影・河野匠)
本対メキシコ 6回に日本2番手で登板した伊藤(撮影・河野匠)