V奪回を目指すソフトバンクに大きな「意識変化」を感じ取った。日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(52)が藤本新体制の2022年シーズン船出に向け、今までにないチーム一丸を強調。世代交代と王者奪還という大きな課題を背負ってスタートする新生ホークス投手陣の課題などを解説した。【取材・構成=佐竹英治】

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プロ野球は「投手力」と言われる。昨年、ソフトバンクはリーグトップのチーム防御率3・25を記録しながら8年ぶりのBクラスに転落した。得点力アップは当然ながら、V奪回へ向けての投手陣強化も同時進行しなければならない。特に先発陣の再編成は大きな課題と浜名氏は指摘する。

浜名氏 はっきり言って、今季は先発投手がどれだけ頑張るか。そこが大きなポイントになると思う。昨年、4月にエース千賀が左足を負傷。長期離脱したこともあったが、規定投球回数(143回)をクリアしたのは石川だけだった。言い換えれば、それだけ中継ぎ陣に負担をかけた証拠でもある。

藤本監督は昨秋のキャンプから先発候補に10人以上の名前を挙げ、先発補強の意識を高めている。

浜名氏 不安というより、むしろ楽しみの方が大きいと感じている。現時点では千賀と再入団したレイ、東浜あたりが先発ローテ確定なのだろうが、こちらも野手同様、激しい争いの中から新たな投手が出てくるのではないかと思う。これまでなら先発枠も1つか2つの争いだったが、3枠以上もある。例えば、大関、板東、田中、杉山らも先発候補に名を連ねているが、彼らは昨年、中継ぎも経験している。競争の中から先発枠をつかみ取るのではないかと期待している。先発枠から漏れたとしても中継ぎとしての経験値は高い。総合的に投手陣は高い争いをしてくれるのではないかと思っている。

昨年は守護神森が左肘にメスを入れ、長期離脱を余儀なくされた。だが、今季も藤本監督は森にクローザーとして大きな信頼を寄せている。

浜名氏 昨年の後半戦に復帰した森は球速も落ちたように感じたが、体調さえしっかり整えれば大丈夫と思う。昨年の離脱は森にとって、いい休養になったのではないかと思っている。プロ1年目から中継ぎ、抑えのマウンドで投げ続け一昨年まで7年連続で50試合以上に登板した。疲労も想像以上に蓄積していたはず。50試合超の数字は途切れたものの、森自身も離脱期間にいろいろと考えることもあっただろうし、復調への気持ちは強いはず。ケガの離脱でもなければ休むこともできなかったわけで、今季に向けてはプラスの要素に捉えたい。これまでの経験もあるし、開幕にはうまく入っていけると思う。モイネロもいるし、FA移籍の又吉もいる。中継ぎ、抑えのブルペン陣は安定した力を発揮すると思う。