菅野、森下の投手戦は1点勝負の様相だった。こういう試合になると、わずかなプレーが勝敗を分ける。最後はマクブルームのサヨナラ2ランで決するが、そこに至る過程で、巨人にはいくつかの隙があったように思う。

3回1死一塁。菅野は送りバントを失敗して併殺に終わった。菅野のバントが甘かったことと森下のフィールディングが良かったため、形を作れなかった。のちのち、ここでの犠打失敗が響いてくる。

最大のチャンスは6回1死三塁、打者丸の場面だった。丸の打球は投ゴロ。三塁走者の吉川は打球が飛んだ瞬間にスタートを切り、挟殺プレーとなるも、森下が吉川目がけて追う理想的なプレーに、吉川は粘れずにアウトになった。ここで気を付ける点は、当たりゴーであってもセンターラインへの打球に対してはどうすべきか確認しておくことだ。そして、挟まれた時はいかにして時間を稼ぎ、打者走者を二塁へ進めるためのアシストをするか。

いい投手と対戦した時は、たとえ好機をつぶしたとしても、ただでは転ばないというしぶとさ、粘りを見せなければいけない。それが相手投手に圧力をかけることにつながる。菅野の送りバント失敗から端を発し、大きなチャンスが2度あったが、いずれもあと1本がでなかった。序盤のチャンスでしっかり形を作ることがいかに大切か。それを物語る試合展開となった。

この日の菅野は良かった。前回24日のヤクルト戦では打ち込まれたが、この日は試合状況を踏まえ、菅野らしいピッチングだった。抜ける球は散見されたが、力を込める場面とそうでない時を見極め、強弱をつけていた。あとは中継ぎ陣にもう1枚、しっかり任せられる投手がほしい。今は独走を許しているが、球宴後にはヤクルトに迫っていけるように、そしてAクラスは死守するためにも、最後の追い込みまで視野に入れ、チーム力に厚みをつけられるよう、しっかり戦力を整えてほしい。(日刊スポーツ評論家)

広島対巨人 7回無失点の好投も白星に結びつかず、肩を落とす巨人菅野(撮影・たえ見朱実)
広島対巨人 7回無失点の好投も白星に結びつかず、肩を落とす巨人菅野(撮影・たえ見朱実)