阪神は激しい雨中の延長戦に競り負けた。11回1死満塁。6番手浜地が塩見に直球を中前にはじき返された末に逃げ切られた。

梨田 両チームとも粘ったといえるが内容的にはピリッとしなかったね。浜地はカットボールの出来が良くなかったから、ヤクルト各打者はストレートに速さを感じていないかのようだった。浜地に限らず雨降りは打者より投手のほうが不利だから気の毒だった。シーズン終盤に阪神が乗っていけないのは青柳で勝てないのが響いている。村上に打たれたのは事実だが、失点したシーンには、いつも村上の“影”がつきまとっているかのようだった。

4回1死から中村、宮本の連打で一、三塁。村上への3ボールからのシンカーは一、二塁間を抜かれた。

梨田 もったいない1球だ。3ボールになってベンチも、坂本も、1つ塁が空いていたから歩かせてもいいと考えたはずだ。坂本が外に構えたのに、青柳にその意図が伝わっていなかったようにみえた。4球目が中に入って打ち返された。

2点リードした直後の5回1死二、三塁は、1番山崎にフルカウントから右越え三塁打で同点。続く中村には中犠飛を許した。

梨田 青柳としては、山崎に出塁を許せば、村上まで回ってしまうのではという心理が働いてもおかしくなかった。後ろに控えた村上の存在にプレッシャーをかけられたという見方もできるだろう。

6回は村上に初球シンカーでストライクをとって、2球目ストレートをバックスクリーン左に運ばれた。

梨田 村上を1ストライクから崩しにかかるとなればインハイ、あるいはツーシームで低めを意識させたいところだ。ボール要求ならさておき、なぜ阪神バッテリーがストレートを選択したのかが理解できなかった。3位を狙うにも、巨人戦にもたつき、対ヤクルトに青柳で勝てなかったのはつらい。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対ヤクルト 4回表ヤクルト1死一、三塁、青柳は村上に右前適時打を打たれ失点(撮影・加藤哉)
阪神対ヤクルト 4回表ヤクルト1死一、三塁、青柳は村上に右前適時打を打たれ失点(撮影・加藤哉)
阪神対ヤクルト 6回表ヤクルト無死、村上は中越えソロ本塁打を放つ。投手は青柳(撮影・加藤哉)
阪神対ヤクルト 6回表ヤクルト無死、村上は中越えソロ本塁打を放つ。投手は青柳(撮影・加藤哉)