佐々木主浩氏(54=日刊スポーツ評論家)が新人歴代最多セーブを挙げ、侍ジャパンに初選出された巨人大勢の今季の活躍ぶりを総評した。

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大勢の長所は真っすぐ。スリークオーターから、半端ではない威力の球を投げている。同じく横投げの抑えだった元ヤクルトの林昌勇とも、球質は違う。ヤクルト村上やDeNA佐野といったリーグを代表する打者には本塁打を打たれたが、どんどん打たれていい。まだ1年目。格が違う。逃げずに痛い思いをすれば、また一皮むける。ただし、佐野に許した2本目(9月19日)は全4球、直球で勝負していた。いくら直球が持ち味でも、変化球を交える必要性が分かっただろう。肝に銘じてほしい。

2月の沖縄キャンプで一目見た瞬間から、ものが違うと感じていた。強い真っすぐに加えて落ちるボールがあるので、クローザーの条件に当てはまっていた。どちらの球種でも狙って三振が取れる。原監督にお願いされてフォークを教えたが、すぐに自分からコツを質問に来た。なかなか新人ができることではない。性格的に気の強いところもクローザー向きだし、巨人には抑えがいないことも頭にはあった。ブルペンで同時に見た山崎伊と堀田はきれいな投げ方だったが、大勢は全力投球。長い回より短い回が合うと感じた。

他球団よりもプレッシャーがかかる巨人で1年目から37セーブも挙げるのだから、いい経験をしている。まだ本当の怖さを知らないかもしれないが、それはそれでいい。今はすべてが全力投球。どこかで抜くこと、メリハリを覚えればプロとして長持ちする。

プロで初めてのレギュラーシーズンを戦い抜いた。先日、初めて3日連続の登板も経験した。抑えである以上、この程度の連投は避けられない。リリーフは1年1年が勝負。あまり先を見過ぎず、オフは体のケアをしっかりしてほしい。経験を積んだ来年は、村上との勝負もさらに楽しみだ。(日刊スポーツ評論家)

9月、ヤクルト戦で力投する巨人大勢
9月、ヤクルト戦で力投する巨人大勢