わたしにも経験があるが、現場監督の立場からいうと、キャンプではどうしてもピッチャーの仕上がりが気になるものだ。阪神では新外国人投手の2人が実戦形式の打撃練習に登板したが、若干の物足りなさを覚えた。

先発のB・ケラーは現時点でローテーション入りするような印象は受けなかった。リリーフでパワーピッチャーのビーズリーのほうは、球に重さが感じられたし、もう少し球速が上がってくれば期待感がもてる。

新戦力では、ドラフト1位・森下も安打性の当たりはなかったが、打撃にクセがないし、下半身をうまく使って打てるタイプに映った。外角スライダーを振らされたが、今後の実戦でいかに対応力を見せるか。

岡田監督はまだ打線の並びまでは決めていないようだが、どのようなオーダーになろうとも、チームのカギを握るのは、佐藤輝のパフォーマンスだと言い切ることができる。

キャンプインから少し改善したようだが、インコースを克服することも含めて、まだうまくタイミングがとれていない。4番に大山を据えるにしても、佐藤輝が打つ打たないはポイントになってくる。

3年目の佐藤輝に求められるのは、数字でいうなら25本塁打は最低ノルマだろう。それ以上に、何番で起用されるかはさておき“ここ”という場面での打点に期待したいところだ。

内外野に競争心も芽生えている。ピッチャーを中心にした「守りの野球」が信条だろうが、阪神は投打をあわせた総合力で、優勝候補の筆頭といえる。

(日刊スポーツ評論家)

阪神岡田監督(手前)と話す日刊スポーツ評論家の梨田氏(撮影・上山淳一)
阪神岡田監督(手前)と話す日刊スポーツ評論家の梨田氏(撮影・上山淳一)
阪神キャンプを視察に訪れた本紙評論家の梨田昌孝氏(左)は佐藤輝明と話す(撮影・前岡正明)
阪神キャンプを視察に訪れた本紙評論家の梨田昌孝氏(左)は佐藤輝明と話す(撮影・前岡正明)