不調時のチームは、何をやってもうまくいかないときがある。巨人は開幕して16試合目だが、早くも嫌な兆しが漂っている。今試合はショートに門脇、二塁には中山をスタメン起用。DeNAの先発は左腕の石田だけに、若い左打者を二遊間に置いたオーダーに驚きを覚えた。

この勝負手が、裏目に出た。0-0の4回だった。2死満塁のピンチで打席にソトを迎えた。外国人のプルヒッター。ここでの内野のポジショニングは引っ張った打球に備え、深めに位置する。定石通りに守り、打球はセンター右への強めのセカンドゴロになった。定位置であればセンターに抜けていただろうが、セオリー通りのポジショニングが功を奏して中山の守備範囲に転がった。

しかし、スライディングキャッチ気味に捕球した中山はセカンドに送球。意表を突かれたように送球を受けた門脇が、慌ててベースを踏みにいったが、間一髪のタイミングでセーフ。痛い失点につながった。

このプレーは記録上でミスはつかない。しかし手痛い“ミス”でもある。2死満塁で右のプルヒッターを迎えれば、内野手は左寄りにポジションをとる。ショートは二塁から離れ気味になるため、ゴロを捕ったセカンドは一塁へ送球するのが基本。満塁のため、一塁手はベースを離れて一塁走者のリードは大きくなる。走力を考えても一塁走者は俊足の関根で、打者走者は足の遅いソト。この状況でのセカンドゴロは、一塁への送球が常識で、実際、ファーストに投げていれば楽にアウトにできていた。

中山は本来、ショートの選手で、まだセカンドには慣れていないのだろう。セカンドが本職の吉川ならあり得ないミスだし、ショートが坂本なら二塁には近づかなかったかもしれない。門脇にしろ、中山がキャッチした時点でファーストへのスローをジェスチャーで指示していれば、防げたかもしれない。

ただ、若い2人の二遊間を責めるつもりはみじんもない。試合経験を積んでいけば起こらないミスとも言える。まだ開幕したばかりで、開幕戦にスタメン出場した二遊間が先発出場できないチーム事情の方が、ミスを呼んだ要因だと思う。(日刊スポーツ評論家)

巨人対DeNA 1回裏巨人1死、中山は左前打を放つ。投手石田(撮影・滝沢徹郎)
巨人対DeNA 1回裏巨人1死、中山は左前打を放つ。投手石田(撮影・滝沢徹郎)