中日は苦しいスタートとなった。阪神との3連戦を終え、18試合を消化して7勝11敗で最下位。開幕直前のアクシデントやエース・大野雄大投手(34)の長期離脱など厳しい事態が続く中、日刊スポーツ評論家の権藤博氏は2軍を含めた現有戦力の適材適所と最大活用で活路を開くべき、との見解を示した。

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強力セットアッパー・ロドリゲスが開幕直前に消息を絶ち、懸案だった遊撃手として期待されたルーキー田中も右肩脱臼。そこに大野雄の左肘手術…。充実した投手陣が中日の強みではありますが、さすがに先発、中継ぎの中心選手の離脱は痛手です。

とはいえ、投手力として見れば、他球団と互角に戦う戦力はまだ残していると思います。何より優先すべきは投手を含めた守りを固めることに変わりはありませんが、やはり得点力の向上は喫緊の課題です。

開幕オーダーが変容を重ねるなど、首脳陣も日々、頭を悩ましながら編成をしているようですが、気になるのはビシエドの2軍調整措置です。チームの中で、シーズンを通して3割を打てる可能性がある数少ない打者の1人である選手を活用しない手はない、というのが私の見方です。

12日の2軍降格時点で、得点圏打率0割(7打数無安打)、打点も0。といっても出場はまだ8試合。打率は2割8分1厘です。主軸としての「決定力」が物足りないというのであれば、1、2番でチャンスメークを期待してもいいし、下位の7番あたりに据えるのは大いにありだと思います。下位に控えていたら、相手にとってはこれほど不気味なことはないはずです。さらに高い守備力のビシエドが一塁に入れば外野シフトも安定するはずです。

開幕早々、暗いニュースが続いていますが、不運を嘆いても仕方ありません。固定メンバーで戦うことが理想ですが、今はファームで調整しているビシエドを始めとした現有戦力も適材適所で使い切ることです。大型の緊急補強も容易ではないでしょう。現状は日々、変化する状況に最善手を駆使して難局を乗り越えるしかないと考えます。(日刊スポーツ評論家)

4月21日、ウエスタンリーグ阪神戦で二塁打を放つビシエド
4月21日、ウエスタンリーグ阪神戦で二塁打を放つビシエド