他球団にとって、やっかいな投手がDeNAに加わった。力のあるストレート。縦気味のものと変化量が多いものと2種類のスライダー。速いスプリットチェンジ。カット。カーブ。バウアーは全球種が一級品で、どの球もストライクゾーンで勝負できる。この日は全体的に高かったがへたに力を抜いて低めにコントロールする方が危ない。高めでフライやファウルを取ればいい。そう思わされた。

外国人投手の場合、強い球で追い込んでから得意球で三振というワンパターンが多い。だが、バウアーは、いろんなパターンで攻められる。「パワー系の変化球投手」という印象を持った。当然、打者は対応に苦労する。広島打線も対策はしていた。ゾーンに全球種を投げてくるとみて、ファーストストライクから振っていったのだろう。だが、そうされても投球の形を崩すことはない。現状では調子さえ悪くなければ、やられる要素はほとんどないと言っていい。さらに言えば、2軍戦を含め実戦は4戦目。あと1、2試合、投げれば、さらにキレが増す可能性は十分ある。初見の攻略は極めて難しい投手だ。

それでも、どうすれば打ち崩せるか、他球団の視点に立って考えてみる。ストレートを待ちながら変化球に対応する、あるいは、ストレートと変化球のどちらかに絞る手が考えられる。ところが、球種を絞ったら、その球が来ないまま他の球種で打ち取られるリスクがある。結局、ストライクゾーンに来る球を、いかにミスなく打てるか、ということぐらいしかない。

あえて不安点を挙げれば、ケガをしないか。球場ごとに多少異なる日本のマウンドに対応できるか。そして、やはり1年半以上、シーズンを遠ざかったブランクとなる。経験があるとはいえ、それだけ実戦を離れたのは初めてのこと。登板後のリカバリーで、どれだけいい状態で投げていけるかが一番のポイントだ。

今後も中4日、中5日で投げていってくれれば、DeNAの先発陣にとって非常に大きい。バウアーの登板日を優先することで中6日を維持したい投手のルーティンが崩されるマイナス面はあり得るが、それ以上に、他の投手の間隔を空けられるプラス面の方が大きいとみる。疲労が軽減され、シーズン後半の勝負の時期を少しでもいい状態で迎えられる可能性が高まる。

お立ち台で「一番特別な試合だった」と言った。その思いを持ち続けて1年間、日本の野球に向き合えば、1カ月遅れでも2ケタ勝利は間違いない。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対広島 広島に勝利し来日初勝利を挙げたDeNAバウアー(右)は三浦監督と笑顔でファンに手を振る(撮影・垰建太)
DeNA対広島 広島に勝利し来日初勝利を挙げたDeNAバウアー(右)は三浦監督と笑顔でファンに手を振る(撮影・垰建太)
DeNA対広島 広島に勝利し来日初勝利を挙げたDeNAバウアーは笑顔で写真に納まる(撮影・垰建太)
DeNA対広島 広島に勝利し来日初勝利を挙げたDeNAバウアーは笑顔で写真に納まる(撮影・垰建太)
DeNA対広島 来日初勝利のDeNAバウアー(左から2人目)はファンとハイタッチ(撮影・鈴木みどり)
DeNA対広島 来日初勝利のDeNAバウアー(左から2人目)はファンとハイタッチ(撮影・鈴木みどり)
DeNA対広島 7回表広島2死二、三塁、松山を三振に仕留め雄たけびを上げるバウアー(撮影・垰建太)
DeNA対広島 7回表広島2死二、三塁、松山を三振に仕留め雄たけびを上げるバウアー(撮影・垰建太)
DeNA対広島 力投するDeNA先発のバウアー(撮影・垰建太)
DeNA対広島 力投するDeNA先発のバウアー(撮影・垰建太)