阪神の不敗神話が一気に崩壊した。開幕から無傷の6連勝中だった先発大竹耕太郎投手(27)に今季初黒星がつき、チームは今季初の3連敗。開幕から8戦全勝だった土曜日、9連勝中だったデーゲームでついに敗れた。最後は同点の8回に大竹が力尽き、加藤豪に勝ち越し打を献上。それでも日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(39)は8回大竹続投の判断を「間違っていなかった」と強調した。【聞き手=佐井陽介】

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同点で迎えた8回裏、大竹投手を続投させるか交代させるか、岡田監督の決断に注目していました。7回終了時点で3失点、球数は99。8回の日本ハム打線には、適時二塁打とソロを浴びている2番マルティネスも待ち構えていました。結果は続投させての決勝点献上。ただ、続投という選択肢は投手目線で見れば、決して間違っていなかったように感じます。

この日の大竹投手は特に序盤、珍しくボールが上ずっていました。3回までに3失点した時点では早期降板も想像しましたが、中盤に立ち直るきっかけを手にしたように映りました。5回2死で3番加藤豪将選手の痛烈な打球が左足に直撃(記録は二ゴロ)。不思議なもので投手は足に刺激が入ると、勝手に下半身への意識が強まり、ボールが低めに集まり始めるケースがあります。今回の大竹投手もそれに近かったのではないでしょうか。

6、7回の2イニングは打者6人でピシャリ。序盤の大竹投手とは別人になっていたと考えれば、尻上がりに状態を上げていた6連勝中の左腕に試合を託すという判断に、特に違和感は感じませんでした。大竹投手は結局、8回無死一、二塁で加藤豪将選手に中前適時打を浴びて降板。最後の1球は失投だっただけに悔しさは残ったでしょうが、「あの場面で続投させてくれた」という事実は必ず次回への力になります。

チームは9連戦の8戦目。今季初の3連敗を喫したとはいえ、この日消費した中継ぎ投手の球数は2番手加治屋投手の7球だけで済みました。湯浅投手の不調でブルペン陣の台所事情が苦しい中、他の投手を休ませられたのは大竹投手のおかげでもあります。11日は9連戦の最終戦。先発才木投手の状態次第で、今度は惜しげもなく救援陣をつぎ込んでいくはずです。(日刊スポーツ評論家)