阪神が7月初の連勝を飾り、2位DeNAとの直接対決でゲーム差を2に広げた。

不調で2軍調整を続けていた青柳晃洋投手(29)が1軍復帰戦で7回2失点と粘投し、2カ月ぶり白星となる今季3勝目(3敗)をマーク。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(39)は青柳が右打者宮崎に投じた2球に注目し、帰ってきた大黒柱の状態に「安心」と太鼓判を押した。【聞き手=佐井陽介】

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真っ黒に日焼けした青柳投手の表情は実に精悍(せいかん)でした。2カ月近くに及んだ2軍生活の中で、しっかり自分の投球を見つめ直せたのでしょう。今年は立ち上がりに失点するケースが目立っていましたが、1軍復帰戦となったこの日は序盤から制球も落ち着いていました。

「おっ」と注目したのは2回1死で5番宮崎選手に投じたストライク2球です。初球から2球連続で内角低めいっぱいにツーシームを決めた姿を見て、勝手に安心させてもらいました。今年はあのコースの直球系のボールが打者側に外れてしまい、カウントを苦しくする場面が目立っていたからです。

もともと青柳投手はストライクゾーンからボールを動かして、打者にバットを出させていくスタイルです。ただ、今年はボールゾーンからボールに外れるボールが多く、打者に反応してもらえないケースが増えていました。それがこの日は低めのストライクゾーンからボールを動かす好調時の投球を取り戻して、しっかりゴロを打たせられていました。7回2失点の復調は本物だと感じます。

ストライクゾーンからボールを動かされると、打者はどうしても1球1球反応せざるを得なくなり、早いカウントで凡打させられる回数も増えていきます。青柳投手目線で言えば、少ない球数で長いイニングを投げられる確率が高くなるわけです。これから7、8、9月と暑い季節でブルペン陣の疲労がたまっていく中、長いイニングを投げられる先発投手の存在はありがたい限りです。

責任感の強い青柳投手のことですから、不調で2軍再調整を続けた2カ月弱の分まで、という気持ちは相当に強いはずです。まだシーズンは2カ月半も残っています。イニングも稼ぎながらフル稼働してくれる大黒柱の復帰は、何よりの朗報と言えるでしょう。(日刊スポーツ評論家)