現役時代は近鉄一筋17年で4度の盗塁王に輝き、オリックスで監督を務めた日刊スポーツ評論家の大石大二郎氏(64)が試合をチェック。バウアー撃ちの8回同点2号2ランと、9回サヨナラ犠飛の3打点で阪神の勝利に貢献した森下翔太外野手(22)の打撃について分析しました。【聞き手=松井清員】


森下の一番の特長は速い真っすぐをスタンドインできることです。8回にバウアーから放った同点2ランは、152キロを完璧にとらえました。1ボールからの2球目は152キロに差し込まれてファウルになりましたが、真っすぐを続けてきた3球目は、タイミングを少し早く取ってドンピシャ。球は少し甘かったけど、すぐ修正して甲子園の左中間席まで飛ばせるパワーと対応力はすごいと感じました。

プロの150キロ超えは簡単に打てるものではありません。森下もその前の3打席は差し込まれて打ち取られましたが、3本に1本打てば3割打者の世界です。その3打席の体感プラス、もっと早くタイミングを取る必要性を感じ、実行して最高の結果を出せることに非凡さを感じます。打率はまだ1割台ですが対応力の高さを感じるので、プロの投手に慣れていけば数字も上がっていくと思います。

阪神打線は長年、真っすぐに弱い傾向があるので存在自体が魅力的です。9日のヤクルト戦で木沢から放ったプロ1号も150キロ。この日のサヨナラ犠飛もウェンデルケンの149キロをしっかり中堅に運びました。9日は3の1、この日は4の1ですが勝負強さも感じます。4試合1番を任されていますが、継続も面白いと思います。そこそこ足もあり、真っすぐに強くて1発のある1番といきなり対戦するのは、相手投手にも重圧がかかるはずです。

3番前川も魅力たっぷりです。8回にバウアーをKOする右中間二塁打を放ちましたが、こちらも一番の特長はしっかり振れること。前回対戦で適時打を浴びたバウアーも警戒し、4回は四球を与えました。左投手が先発した試合でスタメンはまだ1度ですが、ぜひ対左腕も見てみたいところです。近本の離脱は間違いなく痛いですが、代役でチャンスが巡ってきた森下と前川が芽吹き始めている。悪い循環ではありません。

阪神対DeNA 8回裏阪神無死一塁、森下(右)は右中間へ同点本塁打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対DeNA 8回裏阪神無死一塁、森下(右)は右中間へ同点本塁打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対DeNA 9回裏阪神1死満塁、森下(左から2人目)はサヨナラ中犠飛を放ち仲間から祝福を受ける(撮影・上山淳一)
阪神対DeNA 9回裏阪神1死満塁、森下(左から2人目)はサヨナラ中犠飛を放ち仲間から祝福を受ける(撮影・上山淳一)