阪神が4連勝を飾り、優勝マジックを24に減らした。佐藤輝明内野手(24)が4回に反撃の14号ソロを放つなど2打点の活躍で逆転勝ちに貢献。今季の京セラドーム大阪戦を8戦全勝でフィニッシュし、貯金を今季最多の26に増やした。阪神OBで日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(39)は逆転で1点リードした直後の6回表、新外国人右腕コルテン・ブルワー投手(30)を投入した岡田彰布監督(65)の起用に注目した。【聞き手=佐井陽介】

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6回表、阪神ブルワー投手がわずか9球で3者凡退に仕留めた直後、一塁側ベンチで岡田監督がニヤリと笑った瞬間が印象的でした。

5回裏に逆転で1点リードを奪った直後の大事なイニングです。この日は加治屋投手が疲労回復のためベンチメンバーから外れていたとはいえ、他にも実績十分な投手がそろっていました。それでも岡田監督はブルワー投手を来日2度目のマウンドに送り出しました。僅差でリードする場面でも使えるかどうか、先もみすえてチェックしたかったのだと想像します。

そのブルワー投手は少なくとも制球難で崩れることはなさそうなタイプでした。この試合の最速は155キロで、左右に小さくボールを動かせる点が魅力。相手打者が150キロ前後のカットボールに狙い球を絞ってくれば、逆方向に沈む150キロ前後のツーシームで詰まらせることもできそうです。この日はあっさり内野ゴロ3個をゲット。中日木下選手の空振りの仕方を見ても、特に初見の打者は苦労しそうな雰囲気です。

岡田監督はおそらく今回の登板を確認した上で「使えるやんか」と合格点を与えたのではないでしょうか。夏場で各投手の疲労が蓄積していくタイミングで、僅差のリードでも使える新助っ人の登場は本当にありがたい限りです。最下位中日との2連戦に2連勝。ただ勝つだけでなく、勝ちパターンに組み込める新たなピースまでしれっと追加してしまうところに、岡田監督のしたたかさを感じました。

先発大竹投手は少し状態を落とし気味ではありますが、打線の方は佐藤輝選手、近本選手など徐々にホームランが出始めています。その上、救援陣の枚数まで増やした形です。盤石の戦いを続けるタイガースに、死角を見つけるのは難しいと言えるでしょう。