阪神が連夜の逆転負けを喫し、マジック再点灯はかなわなかった。しかも、2位広島がしぶとく巨人に勝ったことで、5ゲーム差にまで迫られた。

梨田 昨日(29日)のDeNA戦の負けは痛かったが、今日(30日)の1敗は痛くない。なぜかというと「あと1イニング」だった9回に抑えの岩崎が佐野に打たれた2ランで同点に追いつかれ、続く牧にもあっさりとホームランを許してひっくり返された。監督の立場で代弁すると「同点でとどめておいてくれたら、その後で何か手を打てたかもしれないのに…」と思ったはずだ。ストッパーが打ち崩された痛い負けだったが、この日の一戦はなにか失敗を犯したわけでもない。ただ6回だけに悔いが残った。

その6回は、阪神先発の大竹が、桑原、佐野の詰まった中前打で2死一、三塁のピンチを迎える。ここで4番牧に1ボールからの2球目ストレートを、低い弾道で右中間スタンドまで運ばれた。

梨田 どの投手にも言えることだが、グラウンド整備後の「6回表」というのは、ちょっとした“間”ができて難しい。それがすべてではないだろうが、大竹の持ち前の制球力がボール1個、1個半ぐらい甘くなった。牧はまったく引っ張るつもりがなかっただろうし、うまく低めの球を打たれた。逆に阪神は2、3回の攻撃で、もう1点をとっていれば展開は変わっていたのかもしれない。

阪神ベンチは大竹降板後、加治屋、島本、石井、ブルワー、桐敷をつぎ込んだが、DeNAのリリーフ陣に打線が封じ込まれた。

梨田 代えづらいところもあったが、大竹が打たれた後の6回途中から、リリーフを投入していって0点に抑えたところは、監督の執念が感じられた。次回の岩崎投入の仕方には興味があるし、ちょっと島本の調子は気になった。だがなにもジタバタするような負けではない。【取材・構成=寺尾博和編集委員】