阪神とオリックスの日本シリーズが、28日に京セラドーム大阪で開幕する。ともにペナントレースをダントツで優勝し、CSも危なげなく勝ち上がった“王者対決”。日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(52)が、今シリーズの見どころ、ポイントを挙げた。

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今更、説明するまでもないが、両チームとも投手力で勝ち上がってきた。お互いに簡単には得点できないだろう。野球という競技の特性上、ロースコアのゲームはもつれるだけに、勝敗を予想するのは難しい。しかし、どちらが勝つかを選ぶなら、阪神だろう。

投手力が互角でも、打力は阪神が少しだけ上回っている。短期決戦はいい投手がどんどん投げる。特にオリックスや阪神の投手は速球派が多く、制球力もいい。こうした好投手を相手に、ストライクゾーンに入ってきた球を単純に打とうとする打者は、対応が難しくなる。

そうした観点から見ると、球種やコースに狙い球を絞るタイプの打者が大仕事をやってのけそう。阪神には森下と佐藤輝、オリックスなら杉本。3人とも長打力があるし、ロースコアのゲームではホームランで決まるケースが多い。要注意のバッターに挙げられる。

そしてこの3人の前を打つ打者が、大きなカギを握る。阪神の1、2番を打つ近本と中野は出塁率も高く、長打力もそこそこある。オリックスの1、2番と比べても、阪神が優位だろう。力量的には3番を打つ森の打力が突出しているが、頼りすぎになると危険。マークは厳しいし、後ろを打つバッターがモタモタすると、簡単に勝負してくれなくなる。

単純に「阪神の1、2番」VS「森」の勝負と、「森下&佐藤輝」VS「杉本」といった構図。どちらも2対1で数の上では阪神が勝る。阪神の大山とセデーニョを比べても阪神に分がありそう。オリックスは頓宮がどれぐらいのコンディションでプレーできるかが問題だろう。機動力も阪神に軍配が上がる。

もうひとつ、両チームとも関西のチームで、甲子園はもちろん、京セラドームでも熱狂的な阪神ファンが殺到するだろう。オリックスは“日本シリーズ慣れ”しているものの、本拠地のアドバンテージがなくなる可能性がある。

オリックスはCSファイナルで、ケガをした杉本と紅林の状態も気になるところ。杉本はトキに秘孔を突いてもらっているから大丈夫だろうが(※)、トキからの治療を受けていない紅林は気になる。エースの山本も日本シリーズで勝ち星がなく、本領発揮するイメージが薄い。阪神は日本シリーズを経験した選手がほとんどいないが、地元で久しぶりの大舞台で勢いを感じる。勝敗は4勝3敗で阪神。どちらが勝つにせよ、好ゲームを期待している。(日刊スポーツ評論家)


※CSファイナルステージ第4戦で左足首を痛めたオリックス杉本は、23日の全体練習で状態を問われると「今、トキに治してもらってます。トキに秘孔突いてもらってます」とユーモアたっぷりに答えた。トキは自身の愛称になったラオウが登場する人気漫画「北斗の拳」のキャラクター。ラオウの弟にあたる存在で、北斗神拳を用いた治療で人々を救ってきた。