日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(70)が14日、沖縄・宜野座の阪神春季キャンプを視察。気温は23度まで上昇し、半袖姿で岡田監督と話し込み、情報を収集した。リーグ連覇を狙う猛虎を中間チェックした。

梨田氏 チームからは落ち着きが感じられた。それは監督から伝わってくる雰囲気にも表れた。ちょうど1年前は、15年ぶりの阪神監督復帰ということもあって、ちょっとピリピリした様子もみえたが、チームを掌握できている今年はどっしりとしていた。なによりチーム全体に昨シーズン戦い抜いた疲労が残っていない。それが投打の動きからもわかった。

ブルペンでは西勇、青柳、伊藤将ら13人のピッチャーでにぎわった。昨シーズンのチーム防御率2・66はリーグトップだった。

梨田氏 やっぱり投手陣は「量」「質」ともにそろっているよね。ベテラン、若手と顔ぶれもバラエティーで、結構いる。巨人も戸郷をはじめ先発はそろうんだけどリリーフにもろさを感じてしまう。でも阪神の場合はブルペンも安定している。湯浅もそう芳しくないというふうには見えなかった。ただ岡田監督との会話では、7、8、9回に投げる人材はまだ決めていないといった口ぶりだった。ただ監督は新外国人ゲラを買っていて、リリーフとしてどこかにハマればといった腹づもりでいるようにも感じたね。

捕手は、故障から復帰した梅野、坂本に、藤田がアピールしている。

梨田氏 ここは梅野、坂本の併用になる可能性が高いよね。梅野はまだ左手首を返すときに違和感があるみたいだが、徐々に握力も回復してくるはず。わたしの経験からも、ピッチャーを生かす意味でも違うタイプの捕手がマスクをかぶるのは賛成だ。

昨季のチーム555得点もリーグトップ。他球団の先発ローテーションは対阪神に照準を定めてくる。

梨田 佐藤輝が「脱力打法」に取り組んでいるようで、ガチガチだった振り出しから、よりインパクトに力が入るような打ち方をしている。タイミングが取れない時に、どれだけ左足で我慢ができるかだな。話題になっている野口も、実戦で変化球を打てるようになればしめたものだ。ちょっと気になったのは森下だね。きょうはアゲンストの風だったが、本来は柵越えする打球が失速していた。どこかで上げてこないとね。ノイジーだって分からない。ポジションを固定したのは大きかったが、レフトとライトは競争になるよね。小野寺も、前川もいる。井上も。よその戦力と比較しても、戦力層は分厚い。全体的に浮ついた感じもないし、現時点で連覇に死角なしと言えるだろう。

【取材・構成=寺尾博和】