現役時代は阪神一筋22年、4番や代打の神様で活躍した日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(54)が試合をチェック。4番大山にも待望の1発が出るなど低調な打線が目を覚ました快勝試合で、あえて佐藤輝明内野手(25)の走塁を課題に挙げました。【聞き手=松井清員】


投打がかみ合って、今年一番ともいえる快勝でした。特に低調だった打線は3番森下に続いて4番の大山にも待望の1発が出た。本塁打もバックスクリーンへの完璧な当たりでしたが、その後の右前打も良い感じで打てていたし、内容にも満足感があると思います。

チームは1年を戦うとどうしても波がありますが、阪神はいきなり波がきた。そんな最低の状況でも貯金をつくれたのは、投手を中心に守り勝てているからです。こうしてクリーンアップが打ち出すとチーム状態は確実に上がってきます。

このナイスゲームであえて反省点を挙げるとすれば、佐藤輝の走塁でしょう。2回1死満塁、木浪の右前打で1点を先制した場面。ここは二塁走者の佐藤輝にもホームにかえってほしかったですね。打った瞬間、ヒットに思いましたが、二、三塁間で固まってしまって三塁止まり。一塁手や右翼手がライナーで捕りそうな角度でも、正面への打球でもなく、右翼手が半身で捕球するほどでしたから。

次は投手の青柳で近本も打てなければ1点止まり。しかも10試合連続2得点以下で、青柳も3戦白星なくこの日を迎え、不安も大きい序盤でした。でもそれを帳消しにしたのが青柳です。1点止まりなら嫌なムードにもなりかねない中で、右翼に上げた2点目の犠牲フライは本当に大きく、流れを呼び込みました。投球内容も良く、派手な打線に埋もれがちですが青柳さまさまの白星だと思います。

難しい打球判断だったのかも知れません。でもスペシャリストの島野(育夫)さん(元ヘッドコーチ)が生きておられたら、すごく怒っていたかも…。チームは守り勝てているので、走塁面でも細かい野球ができると、スキのないチームになっていけると思います。(日刊スポーツ評論家)

阪神対中日 7回裏阪神1死、森下は左前打を放つ(撮影・藤尾明華)
阪神対中日 7回裏阪神1死、森下は左前打を放つ(撮影・藤尾明華)
阪神対中日 7回裏阪神1死一塁、大山は右前打を放つ。投手は梅野(撮影・加藤哉)
阪神対中日 7回裏阪神1死一塁、大山は右前打を放つ。投手は梅野(撮影・加藤哉)