アグレッシブさを貫いたことが、ヤクルトの開幕5連勝につながった、そんな試合だった。

1点を追う9回裏、1死からオスナが左前打で出塁すると、続く増田の打席で代走赤羽が積極的に盗塁を仕掛けて1死二塁。広島ベンチにプレッシャーをかける。

赤羽の走力を信じて走らせたベンチの判断も前向きに映ったし、ギリギリのところで二塁を奪った赤羽の必死さが、ひとつの流れを作ったように見えた。2死一、三塁から、一塁岩田がこの日2つめの盗塁で二、三塁。一気に一打サヨナラの形を作った。

最後は伊藤の三遊間への打球を、三塁佐々木が大きく弾き、二塁方向へ転がる間に、二塁から岩田が一気にサヨナラのホームを陥れた。

開幕カードで3連勝したチーム同士の対戦だったが、ヤクルトが勢いを持続させる戦い。ただ、初回、2回と連続して無死二塁から先制できないもどかしさもあった。初回はサンタナが逆方向への意識が見えないスイングで変化球に空振り三振。2回も伊藤が追い込まれてから低めのチェンジアップを見逃し三振。

ここで確実に進塁打という戦い方が徹底されていれば1死三塁の形は作れた。わずかなところが、ペナントではのちのち効いてくる。結局は、最後に順位に響くのは細かいことの積み重ね、要約するとそういうことだ。

初回、2回で1死三塁を作ったとしても得点できなかったかもしれないが、まずチャンスがあるならしっかり形をつくること。好投した先発奥川にも白星をつけてやることができたかもしれない。最後まで積極的であった戦い方は、見事だが、もっと細部に目を向けて戦えば、この流れをより強いものにすることができる。

対して広島は昨年の反省をしっかり生かしてほしい。昨年ビジターで22勝47敗。いかに敵地で勝負弱かったか。逆転負けも31試合も喫し、リーグ最多の逆転負け数。8回終了時にリードしている試合の勝率9割2分7厘も、リーグ最下位。敵地で弱く、最後の最後でひっくり返される部分は、今年も広島の最大の課題と言える。

シーズンを通して大勝、大敗は必ずある。一方で競った試合をものにできるか、できないかが、最後は順位に直結する。両チームがその意味をかみしめた開幕5試合目だったと感じた。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対広島 9回裏ヤクルト2死二、三塁、伊藤の2点適時内野安打でサヨナラの生還を果たす岩田(撮影・野上伸悟)
ヤクルト対広島 9回裏ヤクルト2死二、三塁、伊藤の2点適時内野安打でサヨナラの生還を果たす岩田(撮影・野上伸悟)