交流戦開始で助っ人の「二刀流」はしばしのお預けとなりそうだ。ヤクルトのデービット・ブキャナン投手(28)は1週間の調整中に野手に混じり、打撃ケージに入る。「変化球を投げてもらうんだ。打てたらチームの勝利に貢献できる」。登板前日には必ずピッチングマシンを相手にバットを振る、振る、振る。快音を響かせて、鋭い打球を連発している。登板3試合目の4月19日、巨人戦(鹿児島)では右二塁打と中前打で2打数2安打。マルチ安打を放った。

 バットにもこだわりを持つ。マルッチ社のものでインターネットでオーダー。現在試合で使っているバットは来日した際に持ってきた3本の内、最後の1本。2本が折れてしまったために打撃練習ではバレンティンのバットを借りている。「ピッチングが好調だと打撃にも影響がある。打ちたいね」と投球だけでなく、打席に対する意欲が人一倍高い。

 だが、29日の甲子園で行われた先発練習でちょっぴり寂しそうに練習を引き上げた。午後2時半頃からベンチに戻ってきたのは約1時間後。登板前日ということもあったが、短めの調整だった。理由を説明してくれた近藤通訳は「明日(30日のオリックス戦は)DHで打席が回ってこないからね。打撃練習がない分(短い)」と笑った。

 ローテが順調に回れば次回登板は6日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)。その次の13日の楽天戦で神宮での試合となるため、2週間は打席に立てないこととなる。交流戦の見どころでもある投手の打席。「チームが勝てればいい」と当面は本職の投球に集中して勝利に導くと意気込むが、投手だって打ちたいんです。【ヤクルト担当 島根純】