交流戦真っ最中に“ハマの二刀流”がいなくなった。

 今季新加入した助っ人外国人のジョー・ウィーランド投手(27)が、右肘の違和感を訴え、6月1日に登録抹消された。

 3勝という数字以上に安定感は今季のチーム1で、打線とかみ合えばもっと勝っていてもおかしくない。アレックス・ラミレス監督(42)も「もっとも安定していたチームナンバーワンの投手だった。早くよくなって帰ってきてほしい」と惜しんだ。

 投球も期待以上だが、サプライズはその打撃力。5月17日の広島戦では、8番打者として初アーチを放ち、同監督も「野手の1人として考えている」と言わしめるほどのスイングを持つ。球団側も昨オフ、獲得の際に打撃力についての情報はなかったため、実際に見て驚きを隠せなかったようだ。月曜日に行われる投手陣の練習では、フリー打撃で柵越えを披露し、マウンドでの緊張感からは解き放たれたように、イキイキとバットを振る。

 もともと高校時代は、遊撃手と投手で起用され、打順は3番を任されていたという。本人いわく高校通算本塁打は約30本で「本当は野手になりたかったけど、コーチから投手の方が次のレベルにいけると言われて、投手を選んだんだ」。当時の憧れの選手は元ニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲスだった。

 そんな助っ人には心優しい一面がある。来日初勝利となった4月28日広島戦。無死満塁のピンチで降板し、リリーフの須田が見事に抑えて勝利投手になった翌日、須田のロッカーにワインをそっと置いた。恩返しの粋なプレゼント。「いい結果を出せるように頑張る」と誓っていた二刀流が戻ってきたら、夏本番を前にDeNAの勢いはさらに加速する。【DeNA担当 栗田成芳】