野球規則5・07内「バッターへの投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないでその投球を完了しなければならない」。西武菊池が指摘を受けた2段モーションによる反則投球の根拠にあたる項目だ。途中で止まっているのか、変更されているのか、その判定は審判個人の判断に委ねられている。8月27日にメットライフドームで行われた球団と友寄審判長らとの話し合いでも、あらためて確認された。

 スポーツ競技は、ルールと審判がいて成り立つ。2段モーションの禁止もルールで定められている以上、守らなければいけない。ただ、その判定基準が個人に委ねられている点には疑問が残る。

 投手は自分の投球フォームを固めるために、鍛錬を重ねる。体調や気温、マウンド状況などの環境面、そしてメンタルなど、日々変わるものと向き合い、ベストピッチの再現性を高めていく。そうやって作り上げられたフォームを修正することは、口で言うほど簡単ではない。それがシーズン終盤であれば、なおさらのことだろう。

 今回、菊池は5月12日オリックス戦のイニング間に、審判から個人的に2段モーションの可能性がある旨を伝えられた。その後、8月10日までの約3カ月間、他の審判を含めて同様の指摘はなかった。この判断のあいまいさが、この問題の元凶ではないだろうか。審判に事前の注意義務はない。2段モーションと判断したのであれば、その場で即、反則投球の裁定を下すと統一するのも1つの考え。修正を促すのであれば審判内で情報共有した上で、個人的に伝達するのではなく、しっかりチーム側に伝え注意喚起する。球団側も、もし選手が個人的な指摘を受けたら、細かな点でも審判サイドに確認するスキームを準備しておく。あいまいさを解消する方策はあるはずだ。

 試合は、選手と審判の信頼関係の上に行われる。それは決して損なわれないようにしてほしい。【西武担当=佐竹実】