阪神小野は8月29日ヤクルト戦でやっとの思いでプロ初勝利を挙げた。実に13試合を要した。くしくもプロ初先発もこのヤクルトだった。5月21日の初登板で一番の記憶に残っているのは「バレンティンのホームランですね」。2回無死一塁、カウント3-0から145キロの速球をスタンドまで運ばれた。「あんな打球は見たことなかったです。びっくりしました」と苦笑いだった。

 やられたままで終わらせなかった。初白星を挙げた試合できっちり借りを返した。1回はフルカウントから低めのストレートで見逃し三振、3回も左飛に。6回には外角のボール球で併殺打に斬った。強振して尻もちをつかせる屈辱を味わわせ、小野に軍配が上がった。開幕から7連敗と、球団の新人投手連敗記録をつくったが、裏を返せばそれだけ力があるから。これからどれだけの投手になるか楽しみだ。【阪神担当=山川智之】