37年ぶりの連覇を決めた広島緒方監督は、勉強家だ。球場、自宅、移動中まで使い、他球団でも全試合を見る。赤の分厚いブリーフケースに、3年間の積み重ねがある。「神様じゃないんだから、どんな采配を振るうか、仕掛けるタイミングは分からないでしょ」と当然のことのように語る。

 分かりやすく現れたのが8月16日の阪神戦(京セラドーム)。代打岩本が放った左翼への打球はフェンスに直撃した。フェアかファウルか。際どい打球だったが、判定はファウル。緒方監督はベンチを出てリプレー検証を要求した。フェンス際ならフェア、ファウルの判定でも要求出来ることを知っていた。

 「8月5日に秋山(西武)のフェンスに当たった打球で検証があった。6月27日の松田(ソフトバンク)の200号は本塁打検証だったけど、フェア、ファウルの検証」

 落ち着いて検証を要求し、判定は覆った。「ダメ元で行ってるけど。ルールを知らないと損。勝ち負けに執念を燃やさないと」と振り返る。CS、日本シリーズへと続く短期決戦で勉強の成果がさらに出るはず。そのタクトに注目したい。【広島担当=池本泰尚】