アスファルトでジャンプしたら膝が痛いし、砂浜で跳べば足場が安定しない。極端に言えばそれくらい違うのだろう。マウンドの硬さの話だ。

 今季ZOZOマリンは人工芝の全面張り替えに伴い、マウンドとベース周りにも改修が施された。マウンドは投手陣の総意として、硬めが希望された。日米両球界を経験した小林雅英投手コーチ(43)はこう話す。

 「他の球場がけっこう、硬くなってるんですよね。国際試合をするところが増えてきて。外国人投手の要望もあったと思いますけど、僕らが入ったころより、粘土質の多いマウンドが増えてきている。最近はそれに慣れている選手も多いです」

 従来の日本のマウンドは土が軟らかく、傾斜が小さかった。そのため多くの投手は重心を低くして、しっかり踏み込んで投げる。逆に、硬いマウンドに足を固定し、上半身のパワーで投げる外国人投手は、軟らかい足場に苦労する傾向にあった。

 小林コーチはZOZOマリンのマウンド仕様を決める際、配合の異なる土のサンプルを4種類ほど見比べた。「アンツーカーと粘土の割合ですね。硬すぎると足に負担がかかるし、粘土だと水はけが悪くなる。屋外球場なので雨で感覚が変わることもある。すべての条件に合わせるのは難しい」。

 熟考の末、これまでのアンツーカー主のオレンジ色の土から、粘土質を7割程度まで増やした配合に変更した。ブルペンも同じ配分に変えた。「色合い的には、京セラや札幌ドームと同じような感じです」。札幌ドームは日本の球場の中でも、メジャー規格に近いとされるマウンドだ。

 土の配量は、不都合があれば今後も変更が可能という。特にリリーフの場合、軟らすぎると、登板時に足場が穴だらけになることを嫌う選手が多い。今年も中継ぎにシェッパーズ、先発ローテにもボルシンガーと新助っ人が入っている。ぱっと見では分かりづらい“土の変更”が、投手陣の好投をアシストするかもしれない。【ロッテ担当 鎌田良美】