この世界にはいろんな縁がある。昨年12月、オリックスから阪神にFA移籍した西。その西がプロ入りした際に関わった人物がタイガースにいた。阪神の熊野輝光スカウト(61)だ。同スカウトは高校生だった西がドラフト3位指名された08年、オリックスのスカウト副部長を務めていた。担当スカウトとともに獲得に関わり、指名あいさつや仮契約の際も立ち会った。

当時から熊野スカウトの西に対する評価は高かった。公式戦はもちろんのこと、練習試合や練習など頻繁に足を運んでいた。「フォームが抜群だったからね。体さえ出来たらいける。そう思っていたよ」。オリックスのドラフト1位は、西と同じ高卒投手だったが、当初から1位での指名を推薦。3位で指名した際には「よく残っていたよ」と驚いた。

同スカウトはその後、12年に巨人、13年から阪神に入団。思わぬ形で西と同じ球団に属することになった。「活躍してほしいというよりも、1年間ローテにいてくれれば。そうなれば自然と結果が出ている。高校生の頃からよく練習していたもん。あのニコニコした笑顔で」。入団が決まって電話で激励した。西にとって心強い人が阪神にいた。【阪神担当 桝井聡】