シート打撃に登板し力投する笠谷俊介(撮影・菊川光一)
シート打撃に登板し力投する笠谷俊介(撮影・菊川光一)

建国記念日の11日、ソフトバンクはようやくA組で実戦形式の「シート打撃」が始まった。ストッパー森が先陣を切り、計7投手が登板した。それぞれ6人の打者と対戦。計42打席で9安打。自主トレからいくら振り込んだとはいえ、まだまだこの時期は「投高打低」。走塁強化の目的もあって、対戦する6打者に対してほぼ一塁に走者を置いての投球。打者勝負だけならば、もっと安打数は減ったかもしれない。

野球評論家の権藤博氏とこの日のシート打撃を見守った。権藤氏が「一番良かった」と評したのは5年目左腕の笠谷だった。打者6人に無安打投球。144キロの直球に110キロ台のカーブも交えるなど高田を空振り三振。谷川原を直球で見逃し三振にも切った。

権藤氏 (笠谷は)見た目はそんなに球速が出るようには見えないが、打者はタイミングが合っていない。このままの感じを続けていけばいいと思う。

第2クールからA組昇格したサウスポーを称賛しつつ、キャンプ中の好調から不調へのきっかけとなる落とし穴を教えてくれた。

権藤氏 打者を抑えても、さらにタイミングを外したいとか、投球に強弱をつけたいとか欲を出してしまうと失敗する。いい時はそのままを保つこと。コーチがすぐに「もっと、もっと」と言ったりするんだよ。あれがダメなんだ。

この日は“プロ初登板”となったドラフト4位板東、同7位奥村の新人2投手もマウンドに上がった。12日以降は1位甲斐野、2位杉山も登板予定。守護神サファテが復帰したとはいえ、今季ホークス投手陣の全体像はまだまだぼやけている。ニューフェースにかかる期待は大きいだけに、「迷い」なき投球を磨いてもらいたいものだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ブルペンを視察した権藤博氏(左)と話す工藤監督(撮影・菊川光一)
ブルペンを視察した権藤博氏(左)と話す工藤監督(撮影・菊川光一)