<オープン戦:ソフトバンク4-3楽天>◇20日◇ヤフオクドーム

「3・20」はホークスにとっても忘れられない日だ。24年前のこの日、日本を震撼(しんかん)させた地下鉄サリン事件が起きた。世界の王が監督に就任して初シーズン直前のこの時期、1月の阪神淡路大震災に続き、凶悪なテロが起きてしまった。

都心は大混乱だった。翌21日は東京ドームでの巨人戦だった。王ダイエー初のON東京対決。野球ファン注目のカードは、許し難いサリン事件の影響をもろに受けてしまった。東京ドームは厳戒態勢。通常の7倍の警官が配備された。観客のみならず、チーム関係者もゲートで手荷物検査を受けた。王監督もチェックを受ける物々しさだった。

安全に野球ができる環境を幸せに思う。24年後。メジャーで大活躍したイチローがマリナーズのユニホーム姿でMLB東京開幕戦に凱旋(がいせん)。月日は流れたが、安心して野球興行ができる環境はうれしい限りである。王さんが九州・福岡にやって来て24年。この年がまさしく常勝ホークスへの「出発点」でもあった。

このON対決はホークスが勝利した。先発マウンドに上がったのは開幕投手が決まっていた工藤だった。3回7安打4失点の内容も、FA移籍のエース左腕への信頼は揺るがなかった。「工藤くらいになれば、本人が納得していれば何も言うことはない」。試合後、村田投手コーチはそう言った。

「あの時」マウンドにいた工藤がホークスのタクトを執って5年目のシーズンとなる。開幕2カード目のオリックス初戦(京セラドーム大阪)先発が有力な東浜はこの日先発で5回途中2失点(自責1)投球。すっきり「開花宣言」とはいかなかったかもれないが、自身の「開幕」までにはしっかり仕上げてくるだろう。それにしても東浜は当時まだ4歳。若い力が強いホークスを紡いでいる。【ソフトバンク担当 佐竹英治】