ヤクルト対阪神 2年ぶりの勝利にガッツポーズする岩田(撮影・上山淳一)
ヤクルト対阪神 2年ぶりの勝利にガッツポーズする岩田(撮影・上山淳一)

<ヤクルト5-13阪神>◇18日◇神宮

阪神岩田稔投手(35)がヤクルト戦に今季初先発し、5失点完投で2年ぶりの勝利を挙げた。

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この日をずっと待っていた。黙々とファームで準備を進めてきた岩田が、グッと左拳を握りしめる。564日ぶりの白星には「諦めない思い」がギュっと詰まっていた。

春先から結果を残しても、1軍から声が掛かることはなかった。35歳。焦る気持ちもあった。それでも「やり切ったと思えるようにしたい」と、鳴尾浜で若虎たちと汗を流す日々を過ごしてきた。

愛車には家族だけでなく「お守り」も乗せた。運転席のハンドル横には「21番」のタテジマユニホームを着た、小さな熊のキーホルダーがある。「注文して、何個か買いました。子どもたちが喜ぶように。お気に入りなんで」。鳴尾浜には若手選手よりも先に車を止める。朝イチで練習に励むため。パパは、まだまだできるんだ-。そんな岩田の隠れた努力を「お守り」は知っている。

諦めなければ、チャンスは必ず訪れる。ずっと追い求めてつかんだ勝利球。フラッシュライトを浴びる「21番」の表情は誇らしかった。【阪神担当=真柴健】

ヤクルト対阪神 阪神先発の岩田は2年ぶりとなる勝利を完投で飾り梅野と笑顔でハイタッチ(撮影・小沢裕)
ヤクルト対阪神 阪神先発の岩田は2年ぶりとなる勝利を完投で飾り梅野と笑顔でハイタッチ(撮影・小沢裕)