「本当にビックリしてさ…」。鳥谷がこの日ファンへの思いを語る姿を見ながら、ほんの数日前の言葉が脳裏によみがえった。

8月25日ヤクルト戦の直後、鳥谷は今季神宮最終戦での代打登場を問われ「自分もこれが最後になるかもしれないので」と返し、さまざまな臆測を呼ぶこととなった。もちろん球団から“引退勧告”を受ける前の話。今思えば、あの意味深発言には虎党に向けた感情がこっそり詰まっていた。

数日前、たまたまコメントの伏線を聞いた。あの日は練習中、試合中、試合後と、それまでとは違う神宮球場の景色が目の前に広がっていたのだという。

「本当にビックリした。背番号1のユニホーム、タオルを持っている人がこんなにも多くいるんだって。もしかしたら、自分が最後になると思って来てくれた人もいたのかもしれない」

感謝を伝えたかった。だが、あの日はまだ今後の方向性がまったく見えていなかった。本当は「これが最後になるかもしれないので」の後、「ありがとう」と言いたかったのではないかと、勝手に思い返している。【遊軍=佐井陽介】