助言、金言、アドバイス…。1月の自主トレ、2月のキャンプ期間中、原稿で何度も使うフレーズだ。弱肉強食の世界で生き抜く先輩が、後輩を思い、言葉を送る。時代は変わっても、歴史を築く過程に不可欠な要素だ。

楽天がキャンプを張る沖縄・金武。現地では使い古された言葉を用いれば「マー君フィーバー」が起こっている。報道陣が勝手に熱気立っているのが主だが、6日の田中将のキャンプ合流以降、チームメートが右腕の下へ足を運び、耳を傾ける姿も随所に見られる。つい先日まで「テレビの中の人」からの言葉。即座に実践へ移す選手が少なくない。

チームを統括する石井GM兼監督も「コーチとのディスカッションも大事ですけど、選手同士のコミュニケーションが一番成長する会話だと思う」と捉える。ただ、忠告を忘れない。「自分でかみ砕いて、実践できるようになっていかなければ意味のないこと。僕は左から右へ、右から左へ受け流すタイプ。人は人、自分しか信じない人もいる。頭でっかちになってしまう人もいる。自分がプロで生きていくためにはどうしたらいいのかを考えることは大事だと思います」。

日米通算177勝右腕が加わり、戦力は格段と厚みを増した。比例して上位進出へ不可欠なラッキーボーイの登場を促す環境も整い、若手の成長、台頭が順位を左右する割合も高まった。「1人が大きな船を引っ張ったって動かないので、みんなで協力し合って引っ張っていく。田中選手はその引っ張り方を知っているので、それをみんなで引っ張っていくことをしてほしいなと思います」と指揮官。「マー君-」を生かし切れば、リーグ優勝、日本一、その先にある常勝軍団形成まで、くっきりと見えてくる。【楽天担当=桑原幹久】