<日本生命セ・パ交流戦:巨人4-4西武>◇1日◇東京ドーム

プロ2年目の西武岸潤一郎外野手(24)が初安打初本塁打を最愛の家族に届けた。1日の巨人戦(東京ドーム)、7番中堅でスタメン出場。7回先頭の打席でカウント2-1から高めのスライダーをとらえ左中間席へ運んだ。記念球を要求するベンチには、岸が初めてのダイヤモンド1周をする前に届けられた。ホームランボールを握りながら「奥さんに渡したい」。苦労人がプロのスポットライトを浴びながら、感謝の気持ちを示していた。

1日巨人戦の7回表、左越えに本塁打を放つ岸(撮影・菅敏)
1日巨人戦の7回表、左越えに本塁打を放つ岸(撮影・菅敏)

19年ドラフトで全体最下位の74番目指名(西武8位)で入団。高校時代は、名門・明徳義塾で1年から4番。4度の甲子園出場で投手として6勝挙げたエリートだった。進学した拓大では右肘を痛めトミー・ジョン手術を受けたが、3年春に野球をやめ退学。しかし野球への思いを断ち切れず、四国IL・徳島のトライアウトを受験し合格。独立リーグでの2年を経てプロ入りを勝ち取った。

プロ入り直後の20年1月、岸がうれしそうに話していた。「実は子どもが生まれました。僕も頑張らないと」。次女が生まれ、誕生の喜びと同時に活躍を誓ったが、1年目は出場5試合で3打席無安打に終わっていた。2年目の今季、けが人続出のチーム事情もあって出場機会は増えたが、この試合まで12打席無安打だった。

ようやく打てた喜びを、自然と家族へと向けたのは、岸にとって自然だった。「子どものために頑張りたいという思いはあります。家族のために頑張っていきたい。家に帰ればどんなに遅くても奥さんがご飯を作ってくれていますし、日頃から感謝しています」。そして1発だけで満足はしない。「(離脱した)若林が活躍していましたし、それに負けないようにやっていきたいです」。けがをきっかけにメンバーの入れ替えはこの世界の常。この1発を、最下位指名から下克上への第1歩にする。【西武担当 栗田成芳】

1日巨人戦の7回表、ソロ本塁打を放った岸は笑顔でナインとハイタッチ(撮影・浅見桂子)
1日巨人戦の7回表、ソロ本塁打を放った岸は笑顔でナインとハイタッチ(撮影・浅見桂子)