巨人吉川尚輝内野手(26)が、またしても試練に直面した。交流戦は3割7分3厘と絶好調だった。二塁手の定位置をつかみ、坂本、丸不在の中、3番打者として存在感を際立たせていた。攻守で躍動していた矢先だった。10日、オリックス戦で左手に死球を受け、左手中指末節骨骨折、左手中指爪根脱臼と診断された。無念の長期離脱を余儀なくされた。

ぐるぐる巻きにされた包帯が痛々しかった。負傷から一夜明け、大阪から帰京。その表情は悔しさを通り越したような、張り詰めたものから、やや解放されたような、周囲が安易に心中を察することは難しい。ボールが爪に引っかかり、中指の爪がはがれ、骨折。麻酔してからの処置でも相当の痛みをともなったという。チームにとっても吉川本人にとっても痛い、痛すぎる離脱となった。

プロ入りからケガによる試練の連続だった。1年目の17年1月の新人合同自主トレは上半身のコンディション不良で別メニュー調整が続いた。開幕スタメンをつかんだ18年は8月のDeNA戦で一塁へのヘッドスライディングで左手支柱骨を骨折。固定ボルトを埋め込む手術を受け、残りのシーズンを棒に振った。19年は4月中旬に腰痛で長期離脱。昨季は自身初の規定打席に到達し、過去の試練を糧に躍進への階段を上りかけていた。

Twitter日刊スポーツ巨人担当アカウント(@nikkan_giants)にはファンから相当数の励ましメッセージが寄せられた。「本人が1番悔しいよね。治して元気に戻ってきて下さい!待ってるかんな!!!!」「痛々しい号泣 かわりたい 指あげたい シャンプー片手でしなきゃじゃん ご飯とか大丈夫なの(もはやお母さん) 1分1秒でも早く治りますように 富士山富士山富士山(盛り塩)あーーーほんと泣ける」「尚輝に仙豆食べてほしい…」「悔しいよね…。また活躍してくれると信じています。諦めずに這い上がってきて!!待ってるからね!!」「尚輝…、強く生きてね!」「みんな尚輝のこと待ってる!! けがに負けるな吉川尚輝!!」「必ず捲土重来を…」「頑張れ尚輝と尚輝の骨!」

復活を待つ。【巨人担当・為田聡史】

帰京する吉川。骨折した左手中指には包帯が巻かれていた(2021年6月11日)
帰京する吉川。骨折した左手中指には包帯が巻かれていた(2021年6月11日)