<ソフトバンク12-4オリックス>◇5日◇ペイペイドーム
負けられない勝負。徳俵に足がかかった体勢から、相手を豪快に土俵下にたたきつけた-。相撲に例えればそんな表現か。記念すべきプロ1号を逆転満塁弾で飾ったソフトバンク・リチャードは見事だった。窮地のチームを救い、さらに2号ソロを含め6打点の活躍。逆転Vへ向け、未完の大砲がラッキーボーイとなりそうな気配も漂ってきた。試合後、王球団会長も「あそこで打てた、ということがたいしたもの」とリチャードの千金弾を絶賛したほどだった。
リーグ連覇を目指すホークスにとって「現在地」は厳しい。首位を走った昨年とは対照的に4位でオリックス、ロッテ、楽天の3チームを追走の立場にいる。それでも残り少ない試合で逆転Vロードに光をともすには「新戦力」の台頭は必定だろう。もっと早くリチャード昇格があっても…。そんなことを振り返ってもしょうがないが、異常なまでの故障禍に悩まされたチームにあっては必勝を誓いながら「若手起用」の勇気も持ち続けてもらいたいものだ。
リチャードの2発は大称賛だが、大勝の中で9回をきっちり3人で締めた5年目左腕、古谷の好投がうれしかった。150キロ超の直球にスライダーを低めに決め2三振も奪った。制球難に苦しんできたサウスポーが今季初登板で変身した姿を見せてくれた。「メンタル面が変わったことですかね。何とかしなくちゃいけないという気持ちより、悪いなりにもしっかり投げようと」。2月の宮崎キャンプは体調不良で参加できなかった。自宅療養しながら体を動かせない日々に精神的に沈み込んだ。「もう野球は無理かな」。自暴自棄になりそうな時に夫人の激励で気持ちを持ち直したという。古谷にとって「なかったかもしれない日」を取り戻した渾身(こんしん)の12球だった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】




