佳境を迎えても、どっしりと構える。楽天は10日ロッテ戦でサヨナラ負けを喫し、11日にも自力優勝消滅の危機に立たされた。だが、石井一久GM兼監督は前日9日の48歳誕生日の快勝から一転、痛いサヨナラ負けにも「(2番手)酒居もクリーンアップからの厳しい場面からいって、最後は浮いてしまったというか、自分の考えとは違った球になってしまったというのはあったんですけど。まあまあ、今日は9回に投げているピッチャーがやられるのはしょうがない」と冷静に受け止めた。

ヤマ場は、まだ先にある。指揮官は1カ月前の予測と現状をすり合わせる。「8月の最初にやっぱり9月2、3週目はすごく大事になるな、と思って取り組んでは来ましたけど、今そのあたりに入っているということで言えば、あの時よりはそういう感覚はあまりないかぁ」と素直な思いを口にする。

各チーム100試合以上を消化し“自力●●消滅”といった見出しが、躍るようになった。それでも「ゲーム差というのは見えないもの。2ゲームと言われれば2ゲームかぁ、となりますけど、見えない数字を追いかけてもしょうがない。先の5試合、10試合を計算しながらやるチームじゃないので、目の前に来たものを集中してやりたいなと思います」。大型連敗を避け、上位との僅差を保つことの重要性を日頃から説く。シーズン前からのスタンスは、ぶれる気配がない。

周囲は日々順位表に目をやり、皮算用を繰り返し、1戦1戦に一喜一憂を重ねる。でも、最後の最後にハナ差でも差し切ればいい。指揮官の不動の姿勢が、チームの焦りを取り除き、最後のひと踏ん張りにつながっていく。【桑原幹久】