キレイに描かれた放物線を眺め、ふと10年後を想像した。オリックス田嶋大樹投手(25)は、9月30日のロッテ戦(ZOZOマリン)で2点を追う9回2死一、三塁から劇的な逆転3ランを放ったT-岡田外野手(33)にほれぼれしたという。

自身は先発して8回3失点(自責2)と好投。三塁側ベンチで逆転を信じて、戦況を見つめていた。「今年、打線の状態が良いので、すごく信じていた。僕が粘ればなんとかなる。絶対、点を取ってくれる。本気で、そう思っていた」。そんな田嶋の祈りが通じた。「土壇場でTさんが打ったり、最後は平野(佳)さんがしっかり締めてくれる。大事なところで活躍する。ああいう存在に本当に憧れます」。

ベテラン陣の奮闘もあり、自身最多となる7勝目をプレゼントしてもらった。守護神の平野佳に対しては「ずっとすごいなと思っています。すごい逆転で、すごいプレッシャーの1点差で、しっかり投げる。改めてすごさを実感した瞬間でした」と尊敬の念を抱く。そして目指したいと思った。将来、自分も頼もしい“オジサン”になることを。「僕が30歳、40歳になったら、ああいう存在になりたい。そういう感情が芽生えた試合でした」。真っすぐな目で「僕は、まだ25歳の(プロ)4年目。まだまだ勉強ばかりです」と続けた。

今季オリックスの投手陣は23歳山本、20歳宮城らを筆頭に、若手の躍動が目立つ。中堅の30歳山田、29歳山崎福らがチームを支え、42歳能見、37歳平野佳らがチームを引き締める。「雰囲気めちゃめちゃ良いですよ。ダメなときでも、みんな明るい」。田嶋のにこやかな表情からチームの様子がうかがえる。

1日に再び首位に立ち、96年以来25年ぶりのリーグVも視界に入る。「最後まで、このままやっていけば良い。変えない方が良い。今のオリックスのまま、突き進んでいけばいいと思ってます」。全員で、勝つ喜びを味わう。【オリックス担当=真柴健】