<ソフトバンク9-3オリックス>◇5日◇ペイペイドーム

「こどもの日」には、お父さんは頑張るものだ。ソフトバンク最年長男の和田が5回1失点の好投で、チーム3連勝に貢献した。

4月20日のオリックス戦(京セラドーム大阪)から中14日。休養十分のサウスポーは立ち上がりから飛ばした。先頭佐野皓に直球勝負。2球で追い込み、最後は143キロのストレートで空振り三振に仕留めた。2番宗、そして3番紅林と3者連続の空振り三振。最高の立ち上がりだった。

今季、まだ勝ち星がない和田にとって4度目の先発マウンドは「存在感」をアピールしなければならない。2回先頭の吉田正に初ヒットとなる中前打を許したものの続く3人をしっかり抑えると、3回もバレラ、池田を連続三振に切って3回無失点。1点リードの4回に犠飛で同点とされたが、5回までに7奪三振の奮投だった。

「先制点をもらったのに、すぐに同点に追いつかれてしまい野手の方に申し訳ない。点を取ってもらった次の回の先頭バッターを、しっかりと打ち取らないといけなかった」

自身6年ぶりとなる「完投」を目標に、オフから体をいじめ抜いた。先発左腕としての矜持(きょうじ)を「引退」の2文字まで持ち続ける男にとって、5回降板は悔しさもあったろう。ベンチは和田に確認を取った上で交代を告げた。

打線は6回に勝ち越しの2点、さらに7回には大量6点を挙げた。「タラレバ」は禁物だが、あと1イニングでも41歳のサウスポーが投げていれば…。試合を見ていて少しばかりもったいない気持ちになった。

白星はお預けとなった和田だが、キャリアにまた1つ箔(はく)が付いた。通算奪三振数が1738個となり、広島で活躍した大野豊氏(1733個)を抜き、歴代37位となった。大野氏は和田がリスペクトする左腕でもある。試合後、藤本監督は「(和田には)ちょっとかわいそうやったね」と心中をおもんぱかったが、必勝のタクトに迷いはなかった。

次回登板は未定。プロ20年目の男に1日も早く1勝の美酒を味わってもらいたいものだ。

【ソフトバンク担当 佐竹英治】