<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク7-0広島>◇27日◇ペイペイドーム

ヒーローのお立ち台に呼ばれたソフトバンク中村晃は外野を吹き抜ける風に「気持ちよくプレーできた」と言った。フィールド席に飛び込むファウルボールにもフェンスにぶつかりながら果敢に取りに行った。17試合ぶりの先発右翼での出場もまったく不安は感じさせない。ようやく1軍合流できた先輩明石に一塁を譲り、鷹党が陣取るスタンドを背に久々の右翼を守った。

ソフトバンク対広島 7回裏ソフトバンク1死、中村晃は左前安打を放つ(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対広島 7回裏ソフトバンク1死、中村晃は左前安打を放つ(撮影・屋方直哉)

前夜(26日)、DeNAに敗れた悔しさを胸にしっかりと刻み込んで、午前の飛行機で福岡に戻った。初回1死満塁で打席が回ると「(昨日のことを)全部プレッシャーにして打った」。大瀬良のカットボールをしぶとく左前に運ぶ先制タイムリーを放った。前日の試合では3回2死三塁での好機に高めの直球にバットが空を切った。「チャンスで何とか走者をかえせてよかった」。お立ち台で笑顔を見せた。3回には右前打、7回にも左前打し今季3度目の3安打。昨年は2度しかなかった猛打賞を抜いた。

昨年のチームは交流戦で大失速。V逸の大きな要因となった。昨年まで選手会長を務めていた中村晃にとっては、誰よりも強い思いを持って臨んだ今季の「セ界戦」だったはず。首脳陣はつながりのある打線編成に腐心し、この日、2番牧原大、6番明石、8番周東のオーダーを組んだ。変更打線が機能し7-0の完勝。中村晃も主軸打者としての役目も果たし、少しばかりは気も晴れた。打撃の好不調を問われると「良くはないけど、悪くもない」とそっけない。後輩の栗原、上林がケガで長期離脱を余儀なくされている。「(彼らは)つらいと思う」。試合に出られる喜びと責任を感じながら、寡黙な背番号「7」はチームをけん引する。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ソフトバンク対広島 ヒーローインタビュー後に、観客に手を振る中村晃(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対広島 ヒーローインタビュー後に、観客に手を振る中村晃(撮影・屋方直哉)