<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク0-3ヤクルト>◇12日◇ペイペイドーム

勝たせてやりたかった。ソフトバンク和田が日本一のヤクルト打線を6回1安打無失点の好投を見せながら、またしても勝利を手にすることはできなかった。41歳3カ月のベテラン左腕はお手本のような「攻め」の投球だった。立ち上がりから強気だった。初回、先頭塩見、山崎に10球連続して直球を投げ込み、ともに空振り三振に切った。3番山田をフルカウントから歩かせてしまったが、4番村上には直球をほぼ内角に投げ込み、最後も内角への143キロのツーシームで空を切らせた。許したヒットは3回の塩見の二塁打のみ。今季自身最多となる8三振を奪う渾身(こんしん)の96球だった。「自分が持っている力を出すことができたと思います」。降板後はベンチで戦況を見守ったがチームは完敗した。

5月29日の広島戦(ペイペイドーム)で先発好投も4回途中に左足太もも裏がつり62球でマウンドを譲った。チームは3本塁打など打線も着実に得点。8-0の完勝となっただけに無念の降板だった。

「足はもう大丈夫です。最後にやってしまいましたね」。試合後、和田は苦笑いでそう言った後に「次はもっと投げられるように、しっかり走り込んできます」と口元を引き締めていた。翌30日に登録抹消され、中14日で挑んだ雪辱のマウンドだった。日米通算150勝に王手をかけながら勝ち星に恵まれないベテラン左腕の粘投を思うと、序盤に制球に苦しんでいたヤクルト先発高橋を打線が早めに攻略してれば…と、悔しさも募るが投打は持ちつ持たれつの間柄。2年連続して対ヤクルト3連敗で幕を閉じた今交流戦だが、和田の好投はリーグ戦再開に向けて大きな収穫となったことは確かだろう。

前回登板では自己最速となる149キロを計測した。「進化」の自覚とともに、今シーズンは目標とする6年ぶりの「完投」を達成してもらいたいものだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】