阪神ドラフト3位の桐敷拓馬投手(22)が開幕までの怒濤(どとう)の日々を振り返ってくれた。春季キャンプでは1軍メンバー入りし、アピールも実って開幕ローテーション入りをつかんだ左腕。「ずっと緊張感はあったなと。緊張感を常に持ちながら生活していました」。

開幕カードの3月27日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)のデビュー戦は5回8安打3失点と粘投したが、持ち味を出せなかった。チーム事情により、中継ぎに配置転換され4月15日に出場選手登録を外れた。「その時は本当に悔しかったですけど、今思うとあの状態じゃ無理だなと。今、振り返ればそう感じます」。

直近では12日に出場選手登録され、ブルペンで投げるなど久しぶりに1軍の雰囲気や空気に触れた。同日のオリックスとの交流戦(京セラドーム大阪)でベンチ入り。1軍で奮闘しているナインを見て素直にこう思った。「試合展開を見ていてもこういうところで投げたいと思いました。2軍でちゃんと練習や経験を積むことも重要だなと思うんですけど、1軍に呼ばれると、より一層ああいう舞台で投げなきゃいけないと感じました」。15日に再び抹消され、ベンチ入りしたのは1試合だけ。登板機会はなかったが、改めて自分の目標に気づいた1日だった。

2軍では全球種でキレを出せるように改善を図った。その成果もあり、ウエスタン・リーグでは4試合に先発として登板し、2勝0敗、防御率0・69と着実に前進している。桐敷の頼もしい言葉を聞いた時、悔しい結果になった6試合の1軍マウンドは決して無駄ではないと感じた。【阪神担当 三宅ひとみ】