指揮官不在を必死にカバーした。オリックス水本勝己ヘッドコーチ(53)は、新型コロナウイルスの陽性判定を受け、隔離療養を行っていた中嶋聡監督(53)の代行監督として、6試合で指揮を執った。

中嶋監督は順調なら2日ロッテ戦(ZOZOマリン)から復帰予定。水本監督代行はこの6試合を3勝3敗の勝率5割で指揮官にバトンを戻すことになった。

8月26日からの西武3連戦(京セラドーム大阪)で、気になったことがあった。試合開始直前にメンバー表の交換を終えた水本監督代行は、中嶋監督が座っていた一塁側ベンチ本塁側最後方の席を空けて、普段通りの自分の席に座った。そのことを尋ねると「なにを大げさな」と笑った。

「中嶋監督がコロナの陽性判定を受けてしまったから(監督代行を)やっているだけであって、中嶋監督は居るんだから」

チームスローガンの「全員でW(笑)おう」が頭をよぎった。中嶋監督は隔離療養中も、チームのことを懸命に考えていた。「試合が終わると電話とかでコミュニケーションを取っている。そこは一切(普段と)変わらない」と水本監督代行。「僕は去年から(オリックスに)来させてもらって、中嶋監督がどういう野球をしていくか、それをどう継続していくかを一緒に考えている」。ときには采配に“中嶋マジック”が垣間見えた。

この6試合、水本監督代行は試合後に“本音”を出した。

「勝負事なんでね、勝ち負けは絶対ある。ベストを尽くしていきたい」

「(中嶋)監督のあとにやるってのはね、しんどいというかね。こればかりはどうしようもない。とにかく、勝つために」

「とにかく、中嶋監督につなぐために必死なわけですよ!」

「選手が良いパフォーマンスができるように考え抜いて、監督が帰ってくるまで、待ってます」

胸に刺さったのは8月27日西武戦(京セラドーム大阪)。21歳になったばかりの左腕宮城がプロ初完封で、水本監督代行に1勝目をプレゼントしたときだった。

記念球を渡されそうになると「持っておきなさい」と宮城の手に戻した。

「僕は、本当にいろんなことを経験させてもらっている。中嶋監督、本当にすごいなぁと。本当にすごいよ。僕は(代行で指揮を執り)倒れそうだもんね…」

何が起きるか予測不能なコロナ禍。もちろん“戦力”は選手だけじゃない。【オリックス担当 真柴健】