広島の本拠地マツダスタジアムの試合終盤に流れる矢沢永吉の「止まらないHa~Ha」が勝利への序曲として浸透しつつある。シーズン途中からセットアッパーに定着した矢崎拓也投手(27)の登場曲だ。今季も勝ちパターンが定まらない中、安定した投球を続けてセットアッパーに定着した。“YAZAWA”ならぬ“YASAKI”の登板が声援を送れぬマツダスタジアムの雰囲気づくりに一役買っている…。そんな気がする。

声援を送ることができないシーズンが続く中で、球場の演出は試合の雰囲気づくりに大きな影響を与える。敵地取材で強く感じてきた。ドーム球場では音響を最大限に生かした演出でビジター球団にプレッシャーをかける。たとえ「2死二塁」でも、まるで大ピンチのように感じさせる演出もある。屋外球場の甲子園でも、照明を工夫したり一体感をあおったりする演出で独特な雰囲気が今もある。横浜スタジアムでは逆に本人のプレッシャーにならないかと感じるほどド派手な演出もある。ただ、いずれも本拠地ファンは盛り上がり、球場の勝利への雰囲気づくりという点ではてきめんだと感じる。

一方でマツダスタジアムは近隣に住宅が多いことから、音量などに制限があると聞く。ドーム球場のような大音量は流せない。加えて、地元ファンの大声援も禁止されている。球場演出という点では、ディスアドバンテージが大きいように感じる。

矢崎の登場曲として定着しつつある「止まらないHa~Ha」が、球場演出のひと節となる期待を感じる。マツダスタジアムで10試合連続自責点0という安定感が、勝利の序曲に定着した背景にある。今季、マツダスタジアムでの残り試合はもう6試合と少ない。願わくば、来季も矢崎がセットアッパーを務め、そして声出しOKとなること。広島の夜空に広島ファンの「ha~ha!」の大合唱が鳴り響けば、他球場の音響にも負けない勝利への序曲となる…。そんな気がする。【広島担当 前原淳】