<ソフトバンク6-1西武>◇14日◇ペイペイドーム

ソフトバンクにとって、勝負どころの11連戦はとにかく白星を積み重ねることと、思っていたら4連勝。それもゲーム差なしで肉薄していた西武に本拠地で3連勝と、乗ってきた。苦肉の采配を続ける藤本監督も、少しばかり厳しい顔がやわらいできたようだ。

プレーボールの直後、初回に大量5得点。「今年一番の攻撃だったんじゃないかな」と藤本監督も速攻を手放しで褒めていた。どんな展開になるかはわからないが、さすがに一挙5点のスタートは余裕も持てたことだろう。柳田、周東、中村晃、牧原大がコロナ感染から復帰し、ようやく主力打線の流れも上向きになってきた。厳しいVレース。「守る」か「打つ」か。どちらも大事だろうが、やはり得点の多い方が白星を手にするのだから、しぶとく本塁を狙う野球をさらに徹底してもらいたいものだ。

今季初の4安打を放った牧原大の動きは、目を見張るものがあった。特に3打席目。捕手前への内野安打で出塁すると、続く正木の中飛で迷わず二塁へタッチアップした。後続が倒れて得点にはつながらなかったが、貪欲に次の塁を狙う積極的な走塁は西武ベンチも意表を突かれたのではないだろうか。

記憶に残る「伝説の走塁」と言えば、1987年(昭62)の西武-巨人の日本シリーズ。走者の西武辻(現監督)が相手の隙を突き、中前打で一塁からホームインしたシーンが思い浮かぶ。一戦必勝の大舞台だからこそのプレーだったかもしれないが、この日4点リードの場面で果敢に進塁を目指した牧原大の集中力は大したものだった。8回には左前へ運んだ打球で迷わず二塁打とし、ダメ押しのホームも踏んだ。藤本監督から「ジョーカー」と呼ばれる男の真骨頂だった。V奪回のキーワードは「機動力」を絡めた攻撃。牧原大の足が光った。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ソフトバンク対西武 笑顔でガッツポーズをする石川(左)と牧原大(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対西武 笑顔でガッツポーズをする石川(左)と牧原大(撮影・屋方直哉)