9月28日、19年間、日本ハムの本拠地として熱戦を刻んだ札幌ドームが、その役目を終えた。

9月に入って「FIGHTERS CLASSIC」と題した主催試合では、選手らが「北海道日本ハムファイターズ」の初代ユニホームを身にまといプレー。球場全体がお別れムードにあふれた。

現役選手が打席に立つたびに流れたのは、懐かしの応援歌に登場曲。リーグ連覇、日本一…黄金期を支えたOBの応援歌に懐かしさがこみ上げて、涙腺を刺激されたファンも多いのでは。清宮が、現在の“師匠”稲葉GMの登場曲、Queenの「I Was Born To Love You」に乗って打席に入った時は、なんだか感動してしまった。

そして「稲葉ジャンプ」でおなじみの、あのファンファーレだ。久々に稲葉ジャンプがよみがえるのか-と、ドキドキしながら見守ったが、球場を埋めたファンたちが総立ちで跳びはねる姿は、最後まで見ることがなかった。

左翼後方で応援を統率する応援団「闘将会」のメンバーは「さすがだな~と。他球団のファンなら、間違いなく飛んでいたと思うんですよ」と、感心していた。新型コロナ禍で声出し応援が制限されているのが、最大の理由だろう。北海道のファンはマナー順守に厳格だ。声を出さなかったとしても、どこまでが禁止か分かりにくいから、ファンの心にブレーキがかかってしまったのも、うなずける。もし跳びはねていたら、批判を受けたかもしれない。何年も続くコロナによる野球観戦の制限が、これほど恨めしく思えたことはなかった。

稲葉ジャンプは、稲葉引退後、一時期、愛弟子だった中田に引き継がれた。闘将会メンバーが、中田がそれを熱望したという報道を耳にしたのがきっかけだったという。今後、誰かの応援で“復活”することは、恐らくないだろう…とのこと。いずれも中軸として打線をけん引した、日本ハムの歴史を代表する強打者だ。まだ道半ばの清宮にバトンが託されたような気持ちで、札幌ドームに流れる最後の伝説のファンファーレを聞いた。一つの時代が、終わった。【日本ハム担当 中島宙恵】

2022年9月28日 スタンド応援席のファンに手を振りながら引き揚げる日本ハムナイン
2022年9月28日 スタンド応援席のファンに手を振りながら引き揚げる日本ハムナイン