オリックスが2年連続の日本シリーズ進出を決めた。昨年に続いて、中嶋聡監督(53)の絶妙なタクトが目立つ結果となった。

普段のコメント量はあまり多くない中嶋監督だが、頭の中を知りたいこちらとしてはその分、一言一言に興味をそそられる。リーグ優勝時、CSファイナルのあとにも繰り返した言葉が個人的に印象的だった。

「そんなの、どこのチームもやっていますよ」

大胆な選手起用に関する質問に答えたものだ。1、2軍スタッフ間の風通しの良さを聞かれると「いいと思います」。スタッフ間の密なコミュニケーション。中嶋監督にとっては当たり前のことだろうが、この当たり前こそが、今のオリックスの根幹だと感じる。

ブルペンだけを例に挙げても今季は、阿部にシーズン途中から抑えに近いポジションを任せ、7月に支配下登録されたばかりの宇田川をセットアッパーに抜てき。昨年まで先発で、今季は故障で離脱していた山崎颯をシーズン中盤から中継ぎに据え、160キロを計測するリリーバーにまで飛躍させた。CSファイナルではプロ2年間で1軍登板のない20歳の山下をベンチ入りさせて驚かせた。

スタッフとの情報共有が完璧でないと、ここまではできない。中嶋監督も認めている。「全部、気にしていますよ。詰めの共有をする。あいつどう? 今なら推薦できます。もうちょっと待ってください、となる」。聖域や先入観を除外しているから、外部の人間はマジックと呼びたくなる。

奇抜に映る試合中の采配についてもそうだ。今回のCSファイナルでも、犠打の場面で、2ストライクをとられた紅林に5球連続でバスターを命じた。シーズン中、ロッテ佐々木朗に徹底したバントの構えで崩しにかかったこともあった。相手に心地よく野球をさせないベンチワークは徹底している。この点についても、涼しい顔で説明した。

「別に不思議なことをしているわけじゃない。セオリーと違ったら『マジック』なんでしょうか? それでは従来通りの野球しかできない。このカウントではこうするのが当然、だと1つの攻撃しかできない。相手に読まれやすくなる。変わったことをしているとは全く思っていません」

1つ1つの采配を顧みると、確かに、全く筋の通っていないものはない。相手を観察し、自軍の都合と照らし合わせて、最適解を探る。結果への近道を探り続ける姿勢こそが、ナカジマジックの正体なのだと思う。昨年のリベンジをかけたヤクルトとの日本シリーズは、ますます目が離せない。【柏原誠】