球界最年長の石川雅規投手(43)が今年もキャンプ序盤から精力的に動いている。毎年恒例の初日ブルペンから始まり、2日目もブルペンに入った。その姿は後輩たちのお手本になっている。

若い選手たちは「石川の声」を重宝する。WBC日本代表の高橋奎二投手(25)は「石川さんにはいろいろな人の話を聞きなさいとよく言われる。良い選手に良いことを聞いて自分のためになることがあれば、自分のものにしてやっていきたい」と代表に合流した際の心得を授かっている。

ドラフト1位吉村貢司郎投手(25=東芝)もブルペンで投げる石川を見て度肝を抜かれた。「本当にコントロールがぶれない。投げているというより、操っているという感覚がすごくある。近くで見てあらためてすごいなと実感しました」。

どうすればそうなれるのか。休養日前の3日に開催された焼き肉店での投手会で質問。石川から「気持ちの持ちよう」だとアドバイスを受けた。「自分で難しくしすぎているという話があった。シンプルに考えていけばいいんじゃないかと。本当に勉強になった。これからはシンプルな考えで打者に向かって行ければと思います」。

その石川は野手球界最年長の青木宣親外野手(41)とともに高津監督から「シニアスワローズ」とコンビ名を授かった。これは昨年ブレークした長岡秀樹内野手(21)内山壮真捕手(20)の「ヤングスワローズ」にかけてのことだろう。

石川は「僕も青木も気持ちはヤングなんですけど(笑い)。ただ名前を付けていただいて実質問題、年齢的には上なので、また青木と2人でチームのいい戦力になりたいな、引っ張っていけたらなと。もちろんね。若い選手、主力いっぱいいますけど、まだまだおじさんいるぞ、というところは見せたいなと思います」と語る。

そんなコラムを書いている記者も1980年(昭55)生まれの42歳。野球で言えば松坂世代だ。「石川先輩」の言葉を借りれば、老け込んだ感じは毛頭ない。ふと思う。石川や青木が現場で結果を出し続けることは政府が掲げる「人生100年時代」の象徴になるのではないか。確かにスポーツには体力の限界があるが彼らの立ち振る舞いは、ビジネスの世界でも参考になる部分は多くあると感じている。【ヤクルト担当 三須一紀】