プロ野球がシーズン開幕に向けて進んでいく中で、日刊スポーツから「プロ野球選手写真名鑑2023」が発売された。ぜひ本誌を手に球場に足を運んでもらいたい。選手名鑑には、一昔前まで選手の住所まで記載されていたというから驚きだ。今でも「推定年俸」や、「未婚」「既婚」の欄はある。一般人からすると、公にしたいものではないだろう。プロ野球は人気商売。契約更改交渉後の年俸公表には、広島球団幹部も「プロ野球の話題が少なくなるオフに、メディアに取り上げてもらえる」と理解を示していた。

結婚もファンの大きな関心事のひとつ。昨年末に結婚を発表した広島森下も、今年の名鑑から当然「既婚」となった。一方で、矢崎は「既婚」から「未婚」という表記に変わった。18年1月に一般女性と結婚し、翌年から姓を「加藤」から「矢崎」に変えた。だが、結婚から5年がたった昨年1月、離婚に至ったという。選手は結婚を発表するが、離婚を発表する選手はあまりいない。

「隠すことでもないですし、コソコソしたくない。“離婚”というとネガティブに捉えられるけど、僕たちは今でも連絡を取り合っているし、お互いがお互いの進む道を応援している。(離婚の)イメージが変わればいい」

きっと、反響はあるだろう。明かさずにいることだって、できた。ただ、結婚を発表したのなら、離婚も隠すことではない。今でも元妻だけでなく、家族とも連絡を取り合っている。両家と話し合い、登録名は今後も「矢崎」のままプレーする。後ろめたい思いはまったくない。「悪いことをしているわけでもないので、自分じゃないところから変な形で伝わるよりいい」。6平方センチ内の名鑑情報が変わっても「矢崎拓也」が「矢崎拓也」のままなのは、登録名だけではない。【広島担当 前原淳】

「加藤」時代の矢崎拓也(2017年撮影)
「加藤」時代の矢崎拓也(2017年撮影)