阪神の開幕投手となる青柳晃洋投手(29)には、新しい背番号17を「右のエースナンバー」へ育ててほしい。

今季から背番号「17」を背負う阪神青柳晃洋(2023年3月10日撮影)
今季から背番号「17」を背負う阪神青柳晃洋(2023年3月10日撮影)

阪神で2リーグ分立後に、この番号を背負って2桁勝利を挙げたのは、02~03年のムーア、16年岩貞祐太のそれぞれ10勝の3度。ともに左腕だ。右投手に限ると、1リーグ時代46年渡辺誠太郎10勝のみ。今季の青柳が大台に乗せれば、実に77年ぶり2度目となる。

大阪タイガース渡辺誠太郎
大阪タイガース渡辺誠太郎

阪神で背番号17をつけた右腕は、長らく苦難の道を歩んできた。

12~13年の伊藤和雄はこの間わずか登板1試合。92番をつけていた20年に1勝を挙げただけに終わった。杉山直久は背番号18だった05年に9勝を挙げたものの、17番に変えた09年からは0勝に終わり引退。95~98年の山村宏樹もわずか1勝で、体調を崩し戦力外となった。近鉄-楽天と移りパでは30勝。成長を遂げたのは、タテジマを脱いだ後だった。

惜しまれるのは81年ドラフト1位の源五郎丸洋だ。大型右腕として注目されたが、故障のため1軍戦登板なしのまま86年に引退したのは残念だった。

球界全体で見れば、背番号17は本格派右腕の代名詞でもある。

WBCの世界一メンバー、大谷翔平(28)、佐々木朗希(21)両投手は、所属先のエンゼルスとロッテでこの番号をつけている。二刀流の大谷は、昨季メジャーで15勝。佐々木朗は昨年、令和初の完全試合を成し遂げた。

背番号「17」のエンゼルス大谷翔平(2022年撮影)
背番号「17」のエンゼルス大谷翔平(2022年撮影)

日本球界筆頭の実績は、史上最高のサブマリン山田久志(阪急)だ。下手投げ投手最多の284勝をマークし、若き日は速球派で鳴らした。平成唯一の完全試合投手槙原寛己(巨人)は、54番から変更し真のエースへと脱皮した。

ほかにも、ヤクルト在籍中2位の191勝を稼いだ松岡弘。大洋(現DeNA)で128勝133セーブを挙げた斉藤明夫といった、往年の好投手も名を連ねる。

青柳は一昨年から2年続けて「最多勝&最優秀勝率」を獲得。同時期の山本由伸(オリックス)とともに、プロ野球初の快挙を達成した。さらに昨年は、防御率1位も獲得。阪神どころか球界を代表する投手に育った。愛着ある50番から、思い切って背負った新しい番号である。阪神の17番といえば青柳-。歴史が始まる年になる。【記録室 高野勲】(22年3月テレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)

阪神青柳晃洋(2023年3月10日撮影)
阪神青柳晃洋(2023年3月10日撮影)