18年ぶりの「アレ」は、阪神ジェレミー・ビーズリー投手(27)にとっても初めての瞬間だった。14日にチームは18年ぶりのリーグ制覇。マウンドにできた歓喜の輪には右腕も加わっていた。「(優勝経験は)大学の時はあったけど、プロとしてはまだ1回もなくて。プロになってからは初めてだよ」。17年ドラフト30巡目でエンゼルスに入団。大学時代には経験した優勝だが、通算6年間のプロ生活ではいまだ優勝経験がなかった。自身4カ国目となる日本で、初の栄冠をかみしめた。

「日本式」の、ビールかけも、もちろん初体験だ。普段は酒を好まない右腕も、この日ばかりは全身で美酒を浴びた。

「本当に楽しかった。久々に子供に戻ったようにはしゃいでたよ。すごく楽しかったね」。

ゴーグルをかけても目に入ってくるビール。目の前は真っ白だった。誰にかけられたかも分からない状況の中だったが「富田の声は聞こえたよ(笑い)。あ、富田!と思ったね」。6学年下の左腕から、日本流の「無礼講」もきっちり学んでいた。

今季は開幕を中継ぎとして迎えながらも、シーズン途中に先発に転向。6試合に先発し、前回登板の18日DeNA戦(甲子園)では5回3安打無失点と好投した。持ち場にとらわれず、チームのために腕を振ってきた。

「個人の目標としては日本一に貢献するという方が強いよ。セ・リーグの1位通過というのは、まだ通過点。クライマックス、日本シリーズがあるからね。そこに勝つまでは今まで通り、しっかり自分のパフォーマンスをやろうというのはあったよ」。助っ人右腕に緩みはない。【阪神担当 波部俊之介】

14日、近本(中央)の発声で開始されたビールかけ
14日、近本(中央)の発声で開始されたビールかけ