「ダサいまま終われないでしょ」

今シーズン終盤、兵庫・神戸市内の焼き肉屋で元ソフトバンクの上林誠知外野手(28)は静かに燃えていた。

18年に初の全試合出場を果たした。打率2割7分、22本塁打、62打点。当時は23歳で、誰もが将来のホークスを担う逸材だと期待した。しかしその後は、けがや不振に苦む。直近では22年5月にアキレス腱(けん)を負傷し、同20日に手術した。18年の輝きは失われつつあったが、上林の心の火は消えていない。

「こんな自分でも回りに応援してくれる人がたくさんいるし、親族や友人も変わらず言葉をかけてくれる。ありがたいよ、ほんとに。期待してくれる人がいるから」

10月22日、ソフトバンクから戦力外通告を受けた。その日のうちに上林は「まだ現役をやると」と当たり前のように言った。現状では中日移籍が濃厚。かつて「モンスター」と呼ばれた男は、新天地で再起を図るようだ。

上林はいつも前向きな言葉を話す。激しいスタメン争いには「首脳陣に使いたいと思わせるしかない」。2軍生活が続いても「終わりよければ全てよし」。他球団移籍が決まっても、上林のポジティブシンキングに触れたい。【ソフトバンク担当=只松憲】